１月場所３日目

正面実況は刈屋アナ。いつものことだが、この人のしゃべりは、常に興奮しているというか力が入っているというか、ちょっと聞きづらい。声質、しゃべりのクセからくるものだろうが。

玉乃島が豊桜を破って３連勝。ケガの回復は順調なようだ。

鶴竜が岩木山を、垣添が春日王を、それぞれ機敏な動きで破った。

普天王は、今日はいい相撲。
自分充分の左四つになっても、高見盛相手では心配があるという考えからか、今日は先に右を差してのもろ差しねらいにいったのがよかった。

安馬が朝赤龍に勝って３連勝。立派だ。
攻防の中で、朝赤龍がもろ差しになる場面があったが、安馬はすばやくまきかえて右四つ。
動きの止まった四つは、安馬としてはラクな展開ではなかったはずだが、そこは過去５戦全勝のあいくちのよさが出たというところか。

黒海は、立ち合い突いて先手をとり、右上手をとって頭をつけて旭天鵬に両まわしを許さない絶好の形を作った。
しかし、さすがに旭天鵬、懐の深さをいかして右上手をとり、胸を合わせた。
やはり力はある。

把瑠都に琴奨菊は、楽しみな一番だったが、相撲は一方的。
琴奨菊がもろ差しからのあびせ倒し。
把瑠都がひっぱりこむというよりは、琴奨菊が二本差しにいった感じだった。
把瑠都は右上手から呼び込むような投げにいったのが悪く、琴奨菊にいっぺんに出られた。
倒れた際に、傷めていた左膝を再度悪くしたようで、明日の出場が危ぶまれる。
せっかく昨日までの２日間は、ひと皮むけた相撲をとっていたのに、今日は以前の雑で甘い相撲が出た。気の毒ではあるが、ケガをしても仕方のない相撲だった。

琴光喜と稀勢の里も一方的な相撲。
琴光喜が立ち合いいい当たりからのもろ差しで一気に出た。
琴光喜の詰めはよくなかったが、出足があったため、稀勢の里が足を出してしまった。
稀勢の里はどうも相撲がよくない。

栃東が、今日はいい相撲で初日。
立ち合い、時天空より早く立って、相手の突きをあてがいながら前に出た。
上背のある時天空が突きに徹する相撲をとったことで、栃東としては却ってとりやすかったようだ。
左足にはまだ力が入っていないようだが、今日は右足一本で前に出ることができた。
明日は把瑠都との対戦なので、おそらく不戦勝だ。星を五分に戻し、１日空いて一服できるか。

琴欧洲が連敗。
立ち合い突き起こしにいったが、豊真将は頭を下げて応戦。
そこからの攻防は、豊真将のよさが出た。
最後は赤房下で投げの打ち合いになり、琴欧洲が有利に見えたが、軍配は豊真将で物言いもつかず。
落ちるタイミングは両者ほぼ同時と思われた。琴欧州の体が土俵の外に飛び加減だったことが勝負判定のポイントになったのだろうか。
しかし、決して死に体ではない。少なくとも物言いはついていい相撲だ。取り直しが妥当だったのではないか。
琴欧洲はこれで１勝２敗。
初日の変化は論外だったが、敗れた昨日今日の相撲は決して悪くはない。
今日も突き起こしにいく戦法は悪くなかったと思う。しいて言えば、組んですぐ投げにいったのがやや強引だった。今日の把瑠都と同じだ。
動けてはいると思う。ケガに苦しんでいた昨年に比べればずっといいと思う。昨日今日、ほんの少しのところで勝敗が分かれている。くさらずに頑張ってほしいが。

白鵬は雅山に辛勝。
白鵬は立ち合いにまわしがとれず、以後は雅山の突きをよく見ながら応戦する展開になったが、途中のはたきで雅山がのめったことで、はたいて勝とうという欲が出たようだ。
以後ははたくチャンスをうかがう相撲になり、危ない場面が続いたが、何とかしのいで勝った。
今場所、白鵬のここまでの相撲に共通して言えるのは、｢強さを感じさせるところがまったくない｣ことだ。

千代大海は、今日はよかった。本来の突きがやっと出て、電車道。
露鵬は、２回立ち合いが合わなかったことが影響したか。

大関で唯一連勝の魁皇に土。
安美錦が立ち合い右に動き、以後も常に先手で動いて一方的な相撲になった。
魁皇は立ち合い自分の土俵にとどまったままでまったく踏み込めず、安美錦になすがままにとられたという感じだ。
もみあいながら、右からおっつけるなり、上手をさぐるなり、自分の形を作りに動くところがまったくなかった。
相手に存分に動かれ、全然対応できなかったのが気になる。力の衰えということか。

結びで朝青龍が出島にまさかの黒星。
自己新の36連勝を目指すと言っていたが、その半分の18連勝でストップしてしまった。
出島には失礼ながら、勝機はまずないと思っていた。
しかし、立ち上がると、出島は左のどわ右おっつけで一気に出て、全盛期を思わせる勝ちっぷりだった。
出島の立ち合いの当たりから、以後の攻めがすべてツボに入ったとしか言いようがない。
朝青龍としては、いつもなら相手に勝るスピードで体勢を立て直すところだが、今日に限っては出島の出足がそれを許さなかった。朝青龍が相手の攻めに何の対応もできずにまっすぐ下がってそのまま負けるのは実に珍しい。
横綱の明日の相撲に注目したい。