naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

11月場所千秋楽

7勝7敗にまで持ち直していた栃乃洋だったが、北桜相手にいい立ち合いをしながら、左差しの体勢を作りきれず、北桜充分の右四つの形で敗れた。十両陥落。早い返り咲きを期待したい。

片山=時津海が制限時間いっぱいというところで、小泉首相が桟敷席にあらわれ、館内に歓声があがった。
もっとタイミングを見て入れなかったものか。両力士には気の毒だった。

高見盛は7勝3敗からとうとう5連敗での負け越し。
右が差せなかったのが敗因。やむを得ない。
駿傑も負けると十両陥落が確実という星なので、必死だった。

栃乃花琴奨菊に今日も流れのいい相撲で11勝目。
敢闘賞に花を添えた。
来場所上位での相撲が楽しみだ。

土佐ノ海黒海に敗れて5勝10敗。
やはり前に出る馬力がなくなった。
来場所は幕尻近くに下がるが、勝負どころだ。

稀勢の里は左四つに組みながら、白露山のパワーと動きに敗れて5勝10敗。
まだ彼本来の相撲は完成に遠いようだ。
これで、大関昇進が確定的な琴欧州と来場所は相当番付が開いてしまう。
来年は少しでも追いかけてもらいたいものだ。

休場明けの普天王と、右肩にテーピングをした垣添の一番は、いかにも怪我人同士という相撲。
二人とも番付を大きく下げるだろうが、まずは怪我をしっかり治して出直してもらいたいものだ。

安馬は立ち合い素早く前まわしをとって、北勝力に快勝。
7勝8敗は惜しかったが、来場所に期待をつなぐことができる、収穫のある場所だった。
この人は小兵ながら常にまともな相撲であることが評価できる。
もう少し体重がついてくれば、上位に定着できるだろう。
安美錦がいつの間にかずいぶん体重をつけてきたが、あんなふうになれればいいと思う。
小兵でまともな相撲をとる力士にとってこわいのは怪我だ。
体重がつくまでの間、怪我がないことを祈りたい。

白鵬は、時天空に右を差して攻め込みながらも、充分な形を作れず、力をつけている時天空の抵抗に苦しんだ。
白鵬にはもっと力の差を見せつける、「強いなあ」という相撲を見せてもらいたい。
琴欧州に先に大関に上がられたことで、発奮するか。
来場所は注目したい。
いずれにしても、白鵬時天空というのは、長身で足腰もいい同士であり、今後楽しみな対戦になると思う。

三役揃い踏みは、東が朝青龍琴欧州旭天鵬、西が千代大海魁皇琴光喜と、好対照。
西の3人がもっと頑張っていれば、東の朝青龍の偉業も、琴欧州大関昇進もすんなりとはいかなかっただろうが・・・。

琴光喜旭天鵬の注文にばったり。
三役確保の勝ち越しがかかった旭天鵬の変化は、やむにやまれぬところだっただろうが、情けないのは琴光喜である。
自分の立ち合いの完成というものを、改めて考えて出直してもらいたい。

魁皇は立ち合い素早くつかんだ右上手で大関昇進確定の琴欧州をふりまわして一蹴。
昨日の横綱戦でこういう立ち合いができなかったものかと思うが、横綱がそうさせなかったということなのだろう。
いずれにせよ、魁皇は右さえとれればこういう強い相撲もとれる訳で、年齢や怪我の影響でやむを得ないのだろうが、ムラがあるのが惜しい。
一方の琴欧州だが、大関確定で気がゆるんだのか、いい立ち合いではなかった。
来場所は大関だが、今場所は下位に3つ星を落としているし、まだ相撲が完成したとはいいづらい。
精神面にもまだ不安がある。
最近は勢いで上がってもそれが続かずに陥落する大関も少なくないだけに、そんなことにならないよう、少しでも早く自分の相撲を固めてもらいたいと願う。

庄之助最後の裁きによる結びの一番は、熱戦だった。
優勝が決まった後でありながら、千代大海も気合いが入っていた。立ち合いからの突きも今の千代大海としては最高の攻めだったが、今の地力からは攻めきれないのも致し方ない。
しかし、朝青龍も、優勝を決め、また数々の記録を達成した翌日でありながら、気を抜くことなく必死の相撲をとったからこそ、劣勢を挽回できたと思う。
ここが今日の琴欧州との違いである。
7連覇、年間全場所優勝も偉大な記録だが、年間最多勝の従来の記録に2つ差をつけたことは高く評価できると思う。

朝青龍は、前からだが、表彰式の際の「君が代」を歌っている。
これまで優勝した外国人力士はそういうことはなかった。
私は、このことも、朝青龍に備わってきた品格の一つと評価している。
(ついでに言えば、外国人力士が優勝した時は、「君が代」の後に出身国の国家を流すべきだと以前から思っているのだが・・・)

さて来年である。
今年後半から、朝青龍が、ある程度力のある下位力士に星を落とすようになってきたことで、少し後続との力の差が縮まってきたように感じていた。
しかし、今場所の優勝争いでそれがまた少し元に戻った感もある。
琴欧州大関として順調に地歩を固めれば、朝青龍との直接の対戦においては、相撲のたちからいっても、今後五分程度には勝負できると思う。
しかし、優勝争い、角界の勢力図ということでいうと、琴欧州一人で塗り替えられるものではない。
横綱の相当な相対優位は動かない。
琴欧州以外にもう2、3人対抗馬が出てきてほしいものだ。
個人的には、やはり白鵬稀勢の里に期待したい。
時天空も面白いかもしれない。時天空の来場所は楽しみだ。