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グレープを聴く~「伝説の神田共立講堂ライブ」「グレープセンセーション」

グレープの「伝説の神田共立講堂ライブ」と、新作「グレープセンセーション」を聴いた。

 

「伝説の神田共立講堂ライブ」は、1976年のグレープ解散ツアーのライブアルバムだ。当時、FM東京で放送された音源をラジカセで録音し、何度も何度も聴いたものだった。

その音源がグレープ解散30周年記念企画としてCDになって発売されたのは、2006年3月だった。

もちろんすぐさま買ったのだが、実は購入後一度も聴かずにきた。同じグレープのライブアルバム「三年坂」(中野サンプラザでのリサイタルを収録)は、今に至るまでしばしば聴いてきたのだが、それに対して、「解散コンサート」という特殊な状況下のライブ音源は、長い時を経て久しぶりに聴くのが何かこわい気がしたのだ。

聴こうかと思って、PCからウォークマンに音源を転送して持ち歩きながら、結局は聴かない、ということが繰り返された。

 

それを今回やっと聴く気になったのは、何と言ってもグレープが復活したからだ。

昨年11月、同じ神田共立講堂での46年ぶりのグレープのコンサート「50年坂」が行われ、4枚目のオリジナルアルバムのリリースも発表された。

そのアルバム「グレープセンセーション」が2月に発売され、これも当然に入手した。

もちろん、グレープの新作は早く聴きたいと思ったが、聴くならば、47年前にグレープが一度終わった時のライブを聴いてからにしよう、と思った。

 

1日(水)、通勤の往復で「伝説の神田共立講堂ライブ」を聴いた。2006年3月に買って実に17年を経て、やっと聴いた。

内容は当然、ラジカセ録音で聴いていたあの音源と同じ。曲間のMCも記憶がよみがえる。

そうそう、当時はこれを聴きながら、もうグレープは解散してしまったんだ、と悲嘆にくれたものだった。20歳の頃の自分の心境を思い出す。

ただ、もちろんその後の歩みとして、実はこの解散から半年という短期で、さだ(まさし)さんも、吉田(政美。当時正美)さんも、それぞれに新しいアルバムを出している。

吉田さんは現役のアーティストとしての活動からは退いたが、さださんは今日に至るまで、4,500回を超えるコンサートを行い、43枚のオリジナルアルバムを出している。

今日までのそうした経過を知っている今では、この神田共立講堂のライブの後半で聞かれる客席からの悲痛な声は、いわば歴史の1ページに過ぎない。

 

まして、グレープそのものが46年を経て、新しい歩みを始めている。とぎれていた輪が再びつながったのだ。

これは大きい。

 

ということで、神田共立のライブは、長年躊躇してきたものの、今であれば冷静に聴くことができた。私にはやはりそれだけの時間が必要だったわけだが、それもすべてグレープが現役に戻ってきてくれたからだと言える。

 

さて、神田共立をいわばステップとして、グレープの新作、「グレープセンセーション」を、3日(金)、うらやすシンフォニエッタの練習の往復に聴いた。デビューアルバムである「わすれもの」を聴いてから、「グレープセンセーション」に移った。

 

これはすばらしいアルバムだ。

1曲目「うたづくり」は吉田さんのヴォーカルで始まる。さださんとのコーラス。ああ、グレープだ、と思う。

そして、セルフカバーとなる「縁切寺」や「精霊流し」で聴かれる、吉田さんのトレモロ。このトレモロは、往年、ライブアルバムを除いてはレコードで聴けなかったものだ。それをこうしてセッション録音してくれたことの価値はとても大きく感じられた。

 

昨年11月の「50年坂」は、チケットを入手できずネット配信で視聴した。この時、最初はグレープの2人での演奏だったが、途中からさだ工務店のメンバーが加わった。

その形での演奏を聴いていて、「さだまさしがさだ工務店とのソロコンサートの中で歌うグレープナンバー」と、「今回、グレープのコンサートにさだ工務店が加わってのグレープナンバー」に違いがあるのかどうか、私には理解しきれないものが残っていた。

 

「グレープセンセーション」における新作7曲を聴いて、ああ、これはグレープだ、と実感するものがあった。

あれからさださんが積み重ねてきた、ソングライター、シンガーとしての半世紀近い歩み。長く現役のアーティストでなかった吉田さん。

その2人が今再び新しいものを作った、そこにはやはりグレープそのものがあると感じた。

会報「まさしんぐWORLD」の最新号に、このアルバムについてのさださんのインタビューが載っている。

その中で、「さだまさし的なもの」と「グレープ的なもの」は異なる、との発言がある。さだまさし作詞作曲であっても、さださん本人の中ではそういうものなのだ、と興味深く読んだ。

(過去のグレープの歌の中で、さだまさし的と言えるのは「フレディもしくは三教街」くらいだとのこと。この曲だけ「鬼っ子」的にグレープではなかった、と発言されている)

 

アルバムのライナーノートによると、今回のアルバムの曲作りでは、吉田さんに2曲ボツにされたのだそうだ。プロデューサー吉田政美は健在でした、とある。あくまでグレープの正当な4枚目のオリジナルアルバムを作るのだ、という吉田さんの強い意思がそこにあったという。

 

グレープのこの再始動には、とても重い意味があるのだ、と感じさせられるアルバムだと思った。

 

作詞、作曲は9曲がさだまさし。そして、往年1曲もなかった、作詞さだまさし、作曲吉田政美、という共作曲が1曲。

薬師寺の修二会を歌った「花会式」がそれだが、この曲を聴きながら、長崎を歌った歌もあったらよかったのに、と思った。1ファンとしての望みだが、今後に期待しよう。

 

さださんの今年のコンサートツアー「なつかしい未来」は、デビュー50周年を記念して、東京・名古屋・大阪で、4公演ずつ全く違う内容のコンサートを開催するとのこと。

4夜の内、最初の日は「グレープナイト」のタイトルである。

(以下、「工務店ナイト」、「管もナイト」、「弦もナイト」)

できれば全部行きたいものだと思う。最初の2夜分のファンクラブ先行抽選に申し込んだ。

昨年11月にかなわなかった、生のグレープに、今度こそ接することができるだろうか。

 

※さださんのメールマガジンに「グレープセンセーション」のネット記事が紹介されていたので引用する。

www.barks.jp

 

※過去の関連記事

    グレープ「伝説の神田共立ライブ」を購入
       https://naokichivla.hatenablog.com/entry/30499975

    76年4月グレープの解散
       https://naokichivla.hatenablog.com/entry/54390598

    さだ(まさし)さん誕生日~グレープのこと
       https://naokichivla.hatenablog.com/entry/65712037

    グレープ~みずみずしい独自の世界
       https://naokichivla.hatenablog.com/entry/65863437

    文化放送開局70周年記念 「海援隊南こうせつさだまさし・グレープ セイ!シュン コンサート」
       https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2022/04/07/231113

    GRAPE50年坂 配信視聴
       https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2022/11/06/192625
    「グレープセンセーション」関連映像
       https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2023/02/05/073919