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68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

朝日新聞 「今こそ!聴きたい 1960年代、70年代の旅の歌」

昨23日(土)の朝日新聞朝刊「be」の企画、「今こそ!聴きたい」のテーマは、「1960年代、70年代の旅の歌」。

 

世代的には、おっ! というテーマである。

 

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読者によるランキング、ベストテンがこちら。

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うーん、なるほど。こうなるよなー。

 

1位はまあ当然でしょうね。

 

ただ個人的には、「旅の歌」と言うなら、「遠くへ行きたい」が最もふさわしいと思う。7位は低すぎるな。

 

「時代」、「津軽海峡・冬景色」は、「旅の歌」というイメージがなかったけど、そうか、入ってくるんだ。

 

ちなみに、このランキングを見る前に思い浮かんだのは、「岬めぐり」でした。入っててよかった。

 

後半は6位の「風」を作詞した、きたやまおさむ氏への取材による記事になっている。興味深く読んだ。

 

末尾に、11位から15位も紹介されている。

 

   11位 あずさ2号 (狩人)

   12位 花嫁 (はしだのりひことクライマックス)

   13位 出発の歌 (上條恒彦六文銭)

   14位 若者たち (ザ・ブロードサイド・フォー)

   15位 ルージュの伝言 (荒井由実)

 

※過去の関連記事
    朝日新聞 「今こそ!聴きたい 小田和正さんの名曲」
       https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2020/10/04/074247

会社関係の訃報通知

今勤務しているA社(西新宿)、B社(三軒茶屋)では、従業員あるいはその家族に不幸があった場合は、イントラネット上の掲示板に通知が載る。

 

これは、前の会社でも同様だったが、異なるのは通知される家族の範囲である。

 

A社、B社とも、祖父母や義父母まで掲載される。前の会社ではこれはなかった。1親等の親族までだったと記憶する。

 

まあ、両社ともまだ2年未満の勤続なので、知っている人は少ない。それだけ幅広い家族訃報を見てもほとんど関係ないのが実状だ。

 

一方、長年勤務した前の会社については、退職してしまうとイントラネットには当然アクセスできないので、訃報に接する機会がない。これは不便だ。

 

今は同期の者がまだ会社にいるので、私の交友範囲を知っていて知らせてくれたりするが、そういうことも遠からずなくなる。

 

FacebookやLINEとかで、情報入手希望者が登録しておくとそこに情報が載るというふうになるといいのだが。

 

それよりさらにほしい訃報は会社OBである。前の会社ではOBの訃報もイントラネットに載っていた。私自身もOBだが、自分の年齢からすると、世話になった先輩が亡くなるといったことはこれから増えてくるだろうから、タイムリーに情報を得たい気持ちがある(年1回発行されるOB会の会報には過去1年の物故者のリストが載るが、それでは遅い)。

 

OBの訃報は、イントラネットを見られる現役の従業員よりもOBにとって必要な情報だ。OB会としてFBやLINE経由の情報周知の仕組みができるといいと思う。

 

竹内まりやライブ中止

22日(金)、eplusからメールが届いた。

 

タイトルは、「竹内まりや「souvenir2021 mariya takeuchi live」公演中止のお知らせ」。

 

えっ? このツアー、5月に福岡で聴く予定で、eplusにチケットを申し込んであったけど、もしかして? と思って開いてみたところ、誠に残念なお知らせだった。

 

   このたび、本年4月~5月に開催を予定しておりました
   竹内まりやの全国アリーナツアー「souvenir2021 mariya
   takeuchi live」は、新型コロナウイルス感染拡大防止の
   ため、政府および各自治体、関係機関などの方針を受け
   お客様の健康を最優先として、全公演を中止させていた
   だくこととなりました。

 

そうなんだ。

 

7年ぶりというこのツアーは、4月3日(土)の横浜アリーナから5月30日(日)のぴあアリーナMMまで、7カ所13公演が予定されていた。

 

竹内まりやご本人からのメッセージも記されている。

 

   ─────────────────────────────────────

   「ライブを楽しみにして下さっている皆様へのお知らせ」

   平素より私を応援して下さっているファンの皆様、そし
   て私の音楽を聴いて下さっているリスナーの皆様に、あ
   らためて心からの感謝を申し上げます。いつも本当にあ
   りがとうございます。

   我々がかつて体験したことのないコロナ禍という困難の
   中で、皆様に音楽で少しでも幸せな気持ちになれる時間
   をお届けしたいと願って試行錯誤しながら日々進んでい
   る私達ですが、先般の緊急事態宣言の再発令と感染者数
   に減少傾向が見えてこない現状を受けて、急遽スタッフ
   との討議を重ねた結果、昨年より準備を進めてまいりま
   した21年4月からのライブツアーを一旦中止するとい
   うことになりました。

   心待ちにして下さっていた皆様には深くお詫び申し上げ
   ます。
   本当に申し訳ございません。無念さでいっぱいですが、
   どんなに楽しいライブの場であれ、たった一人でも犠牲
   者を出してしまうようなリスクを取ることは本末転倒で
   あると感じています。演者、スタッフはもとより、一ば
   ん大切なお客様の安全とご健康を最優先して出した答え
   がこの結論でした。何とぞご理解とご協力をいただけま
   すようよろしくお願い申し上げます。

   いずれ安全で有効なワクチンが行き届く状況が訪れ、ま
   た本来のライブができる時期が戻りましたら、その時に
   は必ずやステージに立ち皆様をお迎えすることをお約束
   いたしますので、どうかくれぐれもお身体を大切にされ
   てお元気にお過ごしいただきますように。皆様のご健康
   を心よりお祈り申し上げます。

   “いつかきっとお会いしましょう!”

         2021年1月22日    竹内まりや

   ─────────────────────────────────────

 

初めての竹内まりやの実演。残念だなー。

 

いつか行ける機会はあるだろうか。

 

※過去の関連記事
    竹内まりやの実演が聴ける!
       https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2020/12/06/191538

一月場所11日目 結びの一番の物言い判定に疑問

一月場所11日目、結びの一番、隠岐の海=正代は、二度物言いがつく相撲となったが、二度とも協議の結果に疑問がある。

 

最初の一番、行司式守伊之助の軍配は隠岐の海に上がって物言い。協議の結果取り直し。取り直し後の一番も軍配は隠岐の海に上がってまた物言い。今度は差し違えとなった。隠岐の海の勇み足との判定。

 

二番ともポイントは隠岐の海の足と正代の体の有無。私の見たところでは、隠岐の海の足が出たにせよ、どちらの相撲もその時点で正代の体は裏返って死に体になっていた。そこを加味する必要があったのではないか。吊った場合の送り足に準じた判断もありえたと思う。

 

正代自身、二番とも負けたと思ったはずだ。最初の一番で負けにされても文句は言えない内容だったし、二番目も同様で、「相撲に勝って勝負に負けた」と言えるものではない。

 

まさか審判団、正代を優勝争いで後退させずに2敗を維持させるための配慮ではないだろうが。

 

式守伊之助立行司にしては差し違えの多い人だが、この日に関しては気の毒な差し違えだったと思う。

 

判定の是非は別にして正代の相撲そのものについて言うと、強引過ぎた。攻め急いだ。せっかく取り直しを拾ったのだから、二番目は切り替えるかと思ったら同じだった。隠岐の海への苦手意識が相当あるのだろう。

 

ついでに他の相撲について簡単に。

 

宝富士=明生は、明生が宝富士の左を見事に封じたのに目を見張らされた。

 

阿武咲=大栄翔は、大栄翔がすばらしい当たりで一気に攻め込んだが、却ってそれが災いしたか、阿武咲にかいなをたぐられてしまった。好調の両者、似たタイプの両者であれば、もっと互いに後に退かない突き合いになるかと思ったが、意外だった。仮にそういう相撲になっていたら、大栄翔が勝ったかもしれない。貴景勝の今場所もそうだが、突き押しの相撲というのは難しいものだ。

 

この他では、琴恵光(対明瀬山)の力強さ、翠富士(対德勝龍)の鮮やかな肩すかし、照強(対竜電)のこれも鮮やかな足取り、翔猿(対琴勝峰)の動き、それぞれ持ち味が存分に出た相撲だった。

 

髙安、照ノ富士、朝乃山もいい相撲で白星を重ねた。

 

優勝争いは正代と大栄翔が2敗で並ぶ形になったが、正代が相撲を立て直せるかどうか。大栄翔がこのまま残り全部勝つとも限らないので、優勝ラインは3敗、あるいは4敗まで下がるかもしれない。とにかくまたまた平幕優勝でなく、三役、できれば大関の優勝を期待したいところだが。

 

 

まわしは取るものか引くものか

NHKの相撲中継の言葉使いで気になることがいくつかある。

 

まず、以前も書いたことだが、取組後の力士が例えば肘を痛そうにしている時、どのアナウンサーも異口同音に「妙義龍、肘をちょっと気にしていますね」のように、「気にしている」という表現をする。

 

それから、これは割合最近気がついたことだが、NHKでは優勝争いのトップに立つことを「先頭」と称する。「大栄翔、これで単独トップに立ちました」とは絶対に言わない。これもどのアナウンサーも「単独の先頭」と言う。

 

そして、今場所ちょっと気づいたのが、「まわしを引く」「上手を引く」という言い方が目立つことだ。

 

これは私の記憶のレベルだが、中学校から半世紀以上相撲放送を観てきて、NHKではアナウンサーも解説者も一貫して「まわしを取る」「上手を取る」と言ってきたと思う。

 

大学に入った頃から、テレビ朝日の「大相撲ダイジェスト」を観るようになったが、この番組では銅谷志朗アナ始めどのアナウンサーも「まわしを引く」と言っていた。それまで聞いたことがない言い方で、「貴ノ花、まわしが引けません」などというのを聞くと、少々のとまどいがあったものだ。

 

NHKは「取る」、民放は「引く」、そんな区別で記憶していた経過から、NHKのアナウンサーの多くが「引く」を使うようになった(昨日、9日目は三瓶アナも使っていた)のが、誠に個人的にではあるが、へえ、と思えた次第。

 

やっぱり、まわしは「取る」がいいな。「引きつけるために取るもの」ではあるけど、個人的には。

 

 

赤房下のお嬢さん

赤房下のたまり席にいるお嬢さん。

 

テレビで相撲中継を観ている少なからぬ視聴者が、既に目に留めているのではないかと思う。

 

この女性に気づいたのは、昨年の十一月場所だった。今場所も引き続きいる。

 

赤房下のたまり席、同じ席に毎日座っている。連れはいない。いつも1人。

 

毎場所15日間皆勤である。

 

新型コロナウイルス感染防止のために席を間引いているため、観客が間を置いて座っていることも、テレビの画面越しに目立つ理由だが、それ以上に彼女のたたずまい自体、独特で目を引くものがある。

 

服装は淡いピンク系のワンピースが多い。たたんだコートを座った脇に置いている。

 

スカートで見えないが、正座していると思われる。ピンと背筋を伸ばした姿勢で、両手は膝の上で組み加減にしている。

 

そしてこの姿勢をまったく崩すことがない。

 

それに加えて、相撲観戦客として異例に見えるのは、土俵上の相撲に合わせて身体が動くということがなく、その凜とした姿勢が終始微動だにしないことだ。

 

また、マスクをしているのでうかがいしれないところがあるが、顔の表情に喜怒哀楽の変化もないように見える。

 

相撲場で相撲を観ている観客であれば、土俵上の熱戦に身体も動けば声も出る(今はコロナのために声を出さないでくれと要請されているとしても)し、贔屓力士が勝てば喜び、負ければ悔しがるといった表情の変化も見られるのが普通だろう。

 

しかしこの女性にはそれが一切ない。

 

拍手はする。土俵に力士が上がった時、勝負がついた時、力士が花道を下がる時。しかし特定の力士に対してだけ拍手するのでなく、すべての取組で同じタイミングで、いわばルーティンのように拍手している。強弱の差もない。常に穏やかな一定の拍手。

 

天覧相撲等、皇族が相撲観戦する時、特定の力士を贔屓していると見られてはいけないので、平等に拍手を送ると聞いたことがある。それを思い出しつつ改めて見れば、彼女の拍手は観戦中の皇族のような動作でもある。

 

このような具合で、非常に目を引く女性なのである。

 

姿勢を崩さない点で今日10日目の相撲を観ていて驚いたのは、髙安=栃ノ心戦。髙安に押し出された栃ノ心が赤房下に落ちて、そのままの勢いでこの女性の脇までつんのめっていって止まった。しかし彼女はそこでも表情を変えず、危険を避けるべく身体をよけるとかの動きもなく、いつもの通りの姿勢で座り続けていた。自分の左脇まで来た栃ノ心の方を向くことさえもなかった。何事もなかったように土俵の方を見つめていた。

 

妻と相撲を観ていて、毎日彼女の話題になる。「今日も来てるね」でなく、つい「あ、今日もいらしてる」と言ってしまう。一体どういう人なんだろうか。

 

相撲観戦客らしからぬ孤高のたたずまいではあるものの、毎場所15日間欠かさず国技館に来るのだから、当然相撲が好きなのだろう。

 

赤房下のたまり席を押さえることができる、というのも、何者なのか、と興味をかきたてられるところだ。

 

おとといだったか、BS放送を観るともなく観ていたら、幕下の取組の時、14時半頃に既に座っているのがわかった。この段階から観戦しているというのは、やはりかなりの好角家に違いない。相撲を楽しんでいるのも間違いないと思われる。

 

取組が終わるたびに、手に持った何かを顔の前に上げる。小さくたたんだ取組表(割り)を見ているようであり、スマートフォンを操作しているようにも見える。もしかして、一番終わるごとにその取組についてTwitterか何か、SNSに上げているんじゃないか、とも思える。「赤房下から」みたいなブログでもあるのでは、と検索してみたが、見つからなかった。

 

とにかく、一体どういう人なんだろう。

 

妻が検索したところ、ネット上では既に彼女の話題は出ており、「○○さんでは」などの仮説も見られる。

 

でもまあ、謎のままの方がいいかな。

 

※過去の関連記事
    11月場所とりあえずの話題
       https://naokichivla.hatenablog.com/entry/64585422

    博多の女(ひと)が両国国技館
       https://naokichivla.hatenablog.com/entry/64674293
    11月21日(木) 十一月場所12日目を観戦
       https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2019/11/30/211107
    大阪場所のおばさん
       https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2020/04/14/075047

 

<追 記>

 この女性、ネット上では「溜席の妖精」と呼ばれているらしい。

彼女にインタビューを試みたネットニュースを発見。

news.biglobe.ne.jp

小田さんが高校の校歌を作曲

今朝小田(和正)さんの公式サイトをチェックしたところ、ニュースとして福島県立喜多方高等学校の校歌を作曲したとの情報が載っていた。

 

関連サイトにあたってみたところ、福島県立喜多方高等学校と福島県立喜多方東高等学校が統合して、今年4月から新しく福島県立喜多方高等学校としてスタートするのだそうだ。

 

統合校の校歌として、生徒・教職員・保護者からの募集を経て校歌校章検討委員会が作詞したものに小田さんが曲をつけたとのこと。

 

小田さんについては、統合校のホームページにこのように紹介されている。

 

   小田和正氏(シンガー・ソング・ライター、元オフコース)

      日本を代表する歌手として長年にわたり活躍されています。

      東日本大震災の 1 年後に母校である東北大学の校友歌「緑

      の丘」を作詞、作曲をされており、東北地方への強い思い

      入れをお持ちです。 今回、統合校の開校に向けて生徒や学

      校関係者によって制作した歌詞に、曲を付けていただくこ

      とを依頼したところ、生徒や学校関係者の思いを受け、作

      曲の提供について快諾をいただきました。

 

これまでの両校の校歌は、福島県だしもしかして古関裕而氏の作曲ではないかと調べてみたが、どうやら違うようだ。

 

どんな歌なんだろう。聴いてみたいな。

 

生徒が歌うには難しい曲だったりして。

 

※統合校ホームページ

    https://kitakata-01-h.fcs.ed.jp/

※校歌の歌詞、作曲者公表の情報   

kitakata-01-h.fcs.ed.jp

 

東北大学校友歌「緑の丘」(小田さん作詞作曲)

www.tohoku.ac.jp

東京交響楽団川崎定期演奏会中止

明日17日(日)に行く予定だった、東京交響楽団の演奏会が中止になった。

 

●東京交響楽団川崎定期演奏会第79回

日 時 2021年1月17日(日) 13:00開場 14:00開演

会 場 ミューザ川崎シンフォニーホール

指 揮 大植 英次

管弦楽 東京交響楽団

ヴァイオリン 木嶋 真優

曲 目 チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲ニ長調
    チャイコフスキー 交響曲第4番ヘ短調

 

木嶋真優さんのヴァイオリンを一度聴いてみたいとの妻の希望でチケットを買い求めていた。

 

緊急事態宣言が出て、演奏会の開演を早めるケースが出てきていると聞いていたので、念のため、東京交響楽団のサイトで予定通りかチェックしてみたところ、中止の情報が載っていた。

 

   東京交響楽団では、1月17日(日)に川崎定期演奏会第79回を予定して

   おりましたが、本公演のリハーサルに参加していた演奏者1名に発熱、

   及び新型コロナウイルスPCR検査陽性者1名が出ました。

   保健所の指導を頂き濃厚接触者はいないと判断されましたが、当団の医

   療監修医のアドバイスでより安全を担保するために数名の演奏者を自宅

   待機及び健康観察の対象と致しました。そのため演奏会の成立が困難と

   なり公演中止の決定に至りました。今後の演奏会実施に備え、万全の態

   勢で臨むため、今回の決断に至りましたことをご理解下さい。

 

うーん、そういう事情か。

 

誠に残念。

 

木嶋さんの演奏会、またさがそう。

 

ヒマな日曜日になってしまった。ゆっくりしますかね。

クァルテット・エクセルシオ ベートーヴェン弦楽四重奏全曲チクルス第3回

13日(水)、J:COM浦安音楽ホールにクァルテット・エクセルシオの演奏会を聴きに行った。

 

ベートーヴェン全曲チクルスの3回目である。

 

今回は、演奏会に先駆けての公開リハーサルも観に行った。大フーガのリハーサルだった。

 

   クァルテット・エクセルシオ公開リハーサル
      https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2021/01/10/063131


ベートーヴェン生誕250年記念 弦楽四重奏全曲チクルス 第3回

日 時 2021年1月13日(水) 18:30開場 19:00開演
会 場 J:COM浦安音楽ホール コンサートホール
演 奏 クァルテット・エクセルシオ
曲 目 ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第7番ヘ長調「ラズモフスキー第1番」
    ベートーヴェン 大フーガ変ロ長調
    ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第13番変ロ長調

 

重量級のプログラムである。

 

席は1階F列12番。セット券なので毎回同じ席だ。

 

最初は「ラズモフスキー」1番。

 

1楽章の開始テンポは速い。アマチュアの身としては、セカンド・ヴァイオリンとヴィオラがいきなり刻み始めるこういう曲って、どうやってテンポを合わせるんだろう、とつくづく思う。

 

1楽章展開部の対位法で進行するところに引き込まれた。

 

2楽章は、ふと4番の同じ2楽章を思い出した。あれに比べるとはるかに確信に満ちた音楽に聞こえる。

 

3楽章は実に聴きごたえがあった。曲の進行の中で、ベートーヴェンが、その時々に4本の楽器に与えた役割の妙に圧倒される。

 

日頃よく聴くベートーヴェンの四重奏曲は10番以降が多く、「ラズモフスキー」などはそう聴かない。しかし、こうして実演でじっくり聴いてみると、やっぱりこの7番は非常にベートーヴェンらしい力作だと実感する。

 

6番までの四重奏曲からこの7番での大きな飛躍は、シンフォニーにおける2番から「エロイカ」への飛躍に匹敵すると思う。
(6番と7番の間には6年の間隔があるが、この間に、シンフォニーでは2番と「エロイカ」、ピアノ・ソナタでは「ワルトシュタイン」「アパッショナータ」が書かれている)

 

この7番では、ヴァイオリンの2人の音がちょっとばたばたしていると言うか安定感がないのがちょっと気になった。またセカンドがいつもよりおとなしい印象も受けた。

 

2曲目は大フーガ。メインの13番は差し替えられたフィナーレが演奏され、当初のフィナーレだったこの大フーガは休憩前に置かれる形。

 

大フーガは前の週の公開リハーサルでその練習過程を観た。

 

その時も思ったが、とにかくまあ長い曲だ。そして聴いていても息が抜けない。7楽章が休みなく演奏される14番は、時間としてはもっと長いが、曲想の変化はあるので途中でほっとくつろぐ余地がある。

 

大フーガの場合は、始まったら最後、という感じがある。

 

それにしても、プロの四重奏団というのはすごい、と思ってしまう。この大フーガは、形のまとまりが次第に崩れて、途中からそれぞれが付点のモチーフや3連符などそれぞれのことをやっているというふうになる。アンサンブルは大変だと思うが、バラバラになることがいささかもなく進行する様は圧巻だ。アマチュアだと得てして自分の楽譜しか見ていないというアンサンブルになるが、当然のことにプロは全体のスコアが頭に入っているのだと思う。ここで合わせる、ここで集合する、と言ったポイントがリハーサルの中で共有されるのだろう。

 

15分の休憩の後、13番。

 

このチクルス、後期の曲は、第1回で12番、第2回で16番と来て、いよいよ13番だ(第5回が14番と15番の2曲プロ)。

 

すばらしい演奏だった。

 

4楽章は心持ちゆっくりめのテンポがとても心地よかった。

 

5楽章のカヴァティーナは実に美しかった。

 

6楽章は、軽くなり過ぎないようにとの意図かやや遅めのテンポだった。

 

個人的には、後期5曲の中では、13番、14番、15番の3曲がいずれ甲乙丙つけ難い不滅の傑作と思っている。

 

今回聴いて改めて思ったが、この13番という曲は、軽さ、愉しさの要素では3曲中最も際立ったものがある。ディヴェルティメント的な魅力があると言えるだろう。14番、15番はそれに比べてもっとシリアスだ。前半の7番などは、これぞベートーヴェン、と言った剛速球の音楽だが、13番になると肩の力が抜けた自在な境地、高みに到達していると感じる。そんな13番の性格を堪能した。

 

ところで、この曲の場合、6楽章に大フーガをもってくるか、最終稿のフィナーレをもってくるかの問題がある。

 

これについては、前者を採るスメタナ四重奏団のレコードについて、学生時代に読んだ大木正興氏の批評では、「もちろんのちに添加された別の終楽章も美しいが、その前のカヴァティーナの悲愁から立直るには、どうしてもこのフーガの力が必要であることを、この演奏は切実に訴えている」とされていた。

 

一方、前週の公開リハーサルで実況をされた渡辺和氏の著書、「クァルテットの名曲名演奏」(音楽之友社)には、アマデウス四重奏団の講習会に、ある若いプロの団体がこの13番を持ってきた時のエピソードが書かれている。その若い団体が終楽章に至って大フーガを弾こうとした時に、講師アマデウス四重奏団が「どうしてベートーヴェンのフィナーレをやらないのか」と言ったのだそうだ。メンバーのブレイニン氏の説によれば「ベートーヴェンはみずからの意志で終楽章を書き換えたのだから、それを尊重するべき。それに、終楽章にフーガを置くと、全曲の中心が第5楽章のカヴァティーナにある事実がかすんでしまう」とのこと。

 

大木氏、ブレイニン氏は、カヴァティーナをめぐって正反対の見解を示していて大変興味深い。

 

私自身は、スメタナ四重奏団のレコードそして大木氏の批評で育ったので、基本的には最後が大フーガでないといささか軽量級の曲になってしまう気がしている。

 

しかし、クァルテット・エクセルシオの実演を聴いて、この曲全体のディヴェルティメント性からすると、この方がいいかもしれないとも感じた。

 

いずれにせよ、後先は別にして大フーガも含めてのプログラミング。冒頭に記した通り重量級の演奏会だった。この3曲を、気持ちをとぎらせずに聴き通すのはなかなか難しかった。

 

全曲チクルス、4回目は2月6日(土)。作品18の6曲である。一転して初期のみのプログラム。これも楽しみである。