けさ、「めざましテレビ」で、25歳の母親が1歳の娘に熱湯をかけた虐待で逮捕されたと報じていた。
逮捕された母親は、「泣き止まないので腹が立った」と言っているとのこと。熱湯をかけたら泣き止むと考えたのか? そんなはずはないじゃないか、と思った。
次の瞬間思い出したのが、小池都知事が緊急事態宣言下で通勤電車の減便を要請した件。
電車を減らしたら通勤を見合わせて、乗る人が減ると考えたのか? それは大間違いでしょう。知事の判断としてはあまりにも・・・。
JRは今日から平常運転にしたそうですね。
筒美京平作品集のCDをまとめ買いした。
まず、3月に発売された4枚。「TOP10」というタイトルで、オリコンのトップ10に入った曲をリリース順に収録。1967~1973年、1974~1980年、1981~1985年、1986~2006年の4枚である。これはタワーレコードのサイトで予約して買った。
ブックレットの最後に、各期間のトップ10入りした曲のリストが載っている。
4月18日(日)に、東京国際フォーラムで「ザ・ヒット・ソング・メーカー 筒美京平の世界 in コンサート」を聴くという得難い体験に恵まれ、当日歌われた曲のいくつかについて、音源がほしくなった。
タワレコのサイトで「筒美京平」を検索すると、色々なコンピレーション盤が出てきたので、そこから検討。
例えば中村雅俊が歌った「時代遅れの恋人たち」が聴きたい。これが入ったアルバムをさがす。上の4枚と重複する曲も多いが、ジュディ・オングの「涙のドレス」なども聴けるので買うことにする。
筒美京平の代表曲とまではいかない曲も拾ってある、そんな5点。
「筒美京平自選作品集」3点。レーベルが異なり、ビクターが「アイドル・クラシックス」、コロンビアが「AOR歌謡」、ユニバーサルが「City Pops」とジャンル別になっている。
「筒美京平 GOLDEN HITSTORY」というシリーズから2点。
全部で14枚。「ニーベルングの指環」並みだな。
連休明け、通勤時の音楽は筒美京平漬けになりそうだ。
※過去の関連記事
巨星筒美京平去る
https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2020/12/30/171922
ザ・ヒット・ソング・メーカー 筒美京平の世界 in コンサート
https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2021/05/02/092436
昨4日(火)は、妻の実家に行った。
事情があって、ちょっと家の中のかたづけをしたのだが、妻が思わぬものを持ってきた。
36年前、妻との縁談に際して出した釣書と写真である。
こんなものが残っていたとは。
釣書は便箋5枚。当時のことなので手書きである。水性ボールペンで、これ以上丁寧に書けないという字だ。
学歴、職歴。職歴には、労働組合の支部書記長を務めていることが添え書きしてある。当時の自分には、自己紹介において重要なことだったんだな。
家族として両親と妹を書いた後、身長と体重が書いてあるが、今より10キロ軽いよ。
「健康状態 良好」。これは今でも。
趣味。「音楽 演奏・鑑賞等全般(クラシック・ニューミュージック・歌謡曲) 相撲観戦」と書いてある。「演奏」とは書いても、具体的に、やめて久しいピアノやヴィオラについてはふれていない。
これが入った封筒に、29歳の私のスナップ社員が3枚入っている。木更津の実家の庭で撮影したものだ。
いやしかしほんと、今になってこんなものを見るとは。
この封筒には、私が受け取った妻の「身上書」のコピーが入っていた。もちろん覚えている。
これと別に、同年の結婚披露宴の座席表も出てきた。こちらも今改めて眺めてみると、座席決めの思案などを自分のことながら興味深く思い出す。
2日(日)、ミューザ川崎で行われた東京交響楽団の演奏会を聴きに行った。
日 時 2021年5月2日(日) 13:00開場 14:00開演
会 場 ミューザ川崎シンフォニーホール
指 揮 大植 英次
ヴァイオリン 木嶋 真優
この演奏会は、1月17日(日)に行われる予定だったが、演奏者に発熱者と新型コロナウイルス陽性者が出たということで、前日に中止された。
東京交響楽団川崎定期演奏会中止
https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2021/01/16/172449
もともと、木嶋さんのヴァイオリンを聴いてみたいとの妻の希望で買い求めたチケットだった。大変残念だが、また別の機会があるだろうと話していたところ、楽団から手紙が届いた。5月2日に延期公演を開催すると書かれていた。チケットはそのまま有効とのことだった。
ここにきて、チケットを買ってあったいくつかの演奏会が中止になる中、この演奏会も再度の中止になるのではないかと案じていたが、神奈川県が緊急事態宣言の対象でないからだろう、そのような情報はないまま当日を迎えた。
ミューザ川崎には、2月にオーケストラ・モデルネ・東京の練習で2回来ているが、演奏会を聴くために来るのは5年ぶり、2016年4月のマウリツィオ・ポリーニのリサイタル以来だ。
過去の出演アーティストのサインが飾られている中に、大植さんのサインもあった。
我々の席は、2階LB5列26・27番。いい距離、いい角度でオケを見下ろせる大変良い席だった。下手側席ながら、見切れがなくオケ全体を見ることができた。
弦は12型。コントラバスはコンチェルトが4人、シンフォニーが5人だった。譜面台はプルトに1台。
椅子は管楽器も含めて間隔を少し空けている。弦楽器、打楽器奏者はマスク着用。
コロナとは関係ないが、男性の楽員はダークスーツに棒タイだった。ネクタイの色は自由らしく、ピッコロの方の赤いネクタイが目立って見えた。
ヴァイオリン・コンチェルト。
1楽章冒頭、ファーストヴァイオリンの弾き出しがとても柔らかな音で、引き込まれた。木嶋さんのソロの出だしは、しっとりとした音。先を急がない。以後もその基調で進められた。高音が凜としてとても清冽な音。さすがストラディヴァリと妻が感じ入っていた。
コンチェルトもシンフォニーも、大植さんは暗譜。
木嶋さんは指揮台の角に置いた白いハンカチを、演奏の合間に頻繁に手に取っていた。手汗が出るたちなのだろうか。
2楽章は聞きものだった。木嶋さんのソロとこの楽章の音楽はとても合っていた。
またこの楽章でのチャイコフスキーの木管の使い方のすばらしさも感じた。
3楽章は鮮やかの一言。
全体にちょっと線の細さも感じたが、ヴァイオリン・コンチェルトの醍醐味を存分に味わうことができた。そういう演奏であり、曲もまたそういう曲だと思った。
シンフォニー。
1楽章主部の基本テンポは遅いが、その後、相当変化する。緩急の差は激しく聴いたことがないような溜めもあった。
2016年6月に、浦安オケでこのシンフォニーを演奏した。この楽章は合わせるのがとても難しく、半年の練習過程の最初の2ヶ月は、通常の倍くらい遅いテンポで、指揮者に「1、2、3」と拍を言ってもらいながら練習したのを思い出す。当然テンポの動きなどはなしだった。そんな練習から入ったアマチュアからすると、こんな演奏ができるプロオケってすごい、と言う他はない。
2楽章は速め。この楽章でも、チャイコフスキーの木管の使い方のよさを改めて感じた。チャイコフスキーというと、金管が目立つイメージがあるが、実は木管もとても魅力的だと思う。
3楽章も速め。弦楽器奏者の弓は膝の上でなく床に置かれた。
3楽章の終わり、だんだん音が小さくなって行く中、打楽器やトロンボーンなどが4楽章の準備にかかるのが目に入った。2階席からだと特によく見える。アタッカ気味にやるのかなと思ったが、実際には4楽章の前には少し間が空いた。それであれば、3楽章が終わってから準備してもらう形の方が、気が散らなくてよかったと思った。
4楽章のテンポはとても速かった。しかし、その後に出てくるロシア民謡のメロディは遅く、この楽章でも緩急の差は大きかった。とても力強く重厚感のある演奏だった。
大植さんのこの曲の指揮は、これまでに聴いたことがないテンポの変化や表情づけがあり、大変聴きごたえがあった。
オケについては、1楽章の冒頭など、管セクションの音がばらけて聞こえる場面がいくつかあった。
はかばかしくない客入りだったが、盛大な拍手が続き、楽員がステージからはけた後、指揮者だけまたステージに登場した。
この演奏会だけでないが、楽章間の咳が必要以上に出ないこと、曲が終わってのブラボーがまったくなくなったことは、大変良いことだと思う。コロナの「効用」とは決して言いたくないが、終息後もこうあってほしいものだ。
開演前に特段のアナウンスがなかったので、勝手に席を立って退場したが、その後、規制退場をエリアごとに行うとのアナウンスが聞こえた。これは遅い。やるなら最初に言わないと。
以下は余談。
浦安オケは大植さんに一度だけ練習を振っていただいたことがある。
1998年6月14日(日)。もう23年前のことだ。
確か大植さんはミネソタ交響楽団で活動されていた時期だったと思うが、浦安オケの団員にツテがあり、帰国中の大植さんに練習をつけていただくことになった。まさに千載一遇の機会であった。
当時私は労働組合の仕事をしていて、3日前から京都に出張、この14日が帰京の日だった。午後からの練習には何としても出たいが家に帰って折り返す時間がない。妻に家から楽器を持ってきてもらうことにして、東京駅到着後、新浦安駅に移動して妻と落ち合い、出張荷物と楽器を交換して、そのまま美浜公民館に向かった。
当時練習していたのはベートーヴェンの7番。7月26日(日)の本番まであと1ヶ月半というところだった。2階の大集会室で大植さんをお迎えし、ベト7の指導を受けた。
練習後、1階のロビーで、大植さんと少し話しながら、持っていったCD何枚かにサインをいただいた。
2021年4月の記事からです。
「こんど、君と」放送開始
https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2021/04/04/101720
会社で席替え
https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2021/04/07/225017
ANA Team HND Orchestra
https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2021/04/07/225315
いざ私
https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2021/04/07/225640
JR千葉駅に野鳥迷い込む
https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2021/04/07/230326
通勤定期券の区間を変更
https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2021/04/07/232016
飯屋の基本
https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2021/04/07/232544
読売日本交響楽団 第607回定期演奏会
https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2021/04/08/221612
エプタザールセレクトコンサート第48回 ~春うらら、澤ファミリーとともに~
https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2021/04/11/183618
昭和女子大学オリジナル ユメミルミズ
https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2021/04/13/131500
初日の出
https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2021/04/13/181534
プリンちゃん25周年
https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2021/04/13/233313
ワーグナー漬け
https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2021/04/13/233944
ワクチン接種券届きました
https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2021/04/19/160002
カツカレーの食品サンプルのメイキング動画
https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2021/04/19/190719
緊急事態宣言で都響演奏会中止
https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2021/04/24/122800
「我が心の大滝詠一」
https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2021/04/25/085643
1日15分
https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2021/04/29/152931
一度は食べたいのだが
https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2021/04/29/160139
「Another Sky」 葉加瀬太郎 with ANA Team HND Orchestra
https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2021/04/29/164123
演奏会中止(延期)相次ぐ
https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2021/04/29/174744
一代年寄の件
https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2021/04/29/192243
札幌旅行 4月16日(金)
https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2021/04/30/223002
札幌旅行 4月17日(土)<1>
https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2021/04/30/224359
葉加瀬太郎 オーケストラコンサート2021 ~The Symphonic Sessions~
https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2021/04/30/232240
札幌旅行 4月17日(土)<2>
https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2021/04/30/232919
札幌旅行 4月18日(日)
https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2021/04/30/233558
4月18日(日)、2泊の札幌旅行から帰京した後、羽田空港から東京駅に向かった。
東京国際フォーラムで「ザ・ヒット・ソング・メーカー 筒美京平の世界 in コンサート」を聴くためだ。
17日(土)、18日の2回行われるこのコンサートのことは、新聞広告で知り、是非行きたいと妻と一決した。
その時点では、16日(金)から札幌に行き、17日に葉加瀬太郎さんのコンサートを聴いて18日に帰京することが既に決まっていたが、帰京の便は13:05羽田着。17:00の開演には充分間に合う。旅行帰りではあるが、どうしても聴きたいコンサートであり、躊躇なくチケットを買い求めたのだった。
東京モノレールとJRを乗り継いで東京駅に到着。帰りは京葉線なので、改札内、東京国際フォーラムに近い場所にあるコインロッカーに旅行荷物を入れて駅を出た。
開場の16時前だったが、もう入場待ちの行列ができていた。おそらく全国から筒美京平ファンが来ているのだろう。
(もっとも、このコンサートの新聞広告は、朝日新聞では直前まで毎日出されていた。思ったように売れなかったのだろう。税込15,000円という価格設定が高すぎたのではないかと思う。入場後、我々の1階席からは2階席が見えなかったので、どの程度の客入りになったかは不明)
プログラム冊子の表紙。
(このプログラム冊子は、さほど厚いものではないが、この日指揮を務めた船山基紀氏のインタビューの他、「筒美京平と作詞家たち」、「筒美メロディーを彩った編曲家たち」、「接点を持った意外なアーティスト」、「筒美マニアに愛される隠れた名曲」などのコラムが掲載されていて、大変充実した内容である)
バンドメンバー。
ステージプラン図。
●ザ・ヒット・ソング・メーカー 筒美京平の世界 in コンサート
日 時 2021年4月18日(日) 16:00開場 17:00開演
会 場 東京国際フォーラム ホールA
出演者 麻丘めぐみ、浅田美代子、伊東ゆかり、岩崎宏美、
太田裕美、大友康平、大橋純子、郷ひろみ、斉藤由貴、
ジュディ・オング、庄野真代、C-C-B、中村雅俊、
夏木マリ、乃木坂46(伊藤純奈&樋口日奈)、野口五郎、
NOKKO、野宮真貴、早見優、平山三紀、藤井隆、
ブレッド&バター、松崎しげる、松本伊代、武藤彩未、
森口博子、Little Black Dress、
ROLLY
(稲垣潤一が17日に出演。岩崎宏美と乃木坂46(伊藤純
奈&樋口日奈)は18日のみの出演)
演 奏 船山基紀とザ・ヒット・ソング・メーカーズ
我々の席は、1階13列36・37番。ステージ中央を正面に見る大変良い席だった。
プログラム冊子掲載の船山氏のインタビューを読んだら、今回のコンサートはオリジナルに忠実なアレンジで演奏されるとのこと。開演を楽しみに待った。
1ベルの後、弘田三枝子の「渚のうわさ」が流れ(レコードだろう)、その後、バンドによるインストゥルメンタルが演奏された。
そして、1曲目、あの懐かしいイントロが始まった。「ブルー・ライト・ヨコハマ」(いしだあゆみ)。伊東ゆかりが登場して歌った。
このコンサート、司会者がいて進行するのかと思ったがそれはなかった。1曲歌う歌手と2曲歌う歌手がいたが、後者の場合は、曲間に歌手本人のMCがはさまれた。
ここでも伊東ゆかりが短いMCをはさんだ。次に歌うのは自分のレパートリーとしてはリズミカルな曲で、リズムがなかなかつかめずに苦労した、という話だった。「誰も知らない」。
正面のビジョンには、次に歌われる曲名と歌手名が表示される。曲名あるいは歌手によって、客席からどよめきや拍手が起きた。曲名は、シングル盤として発売された時のジャケットロゴが多かった。
伊東ゆかりが袖にはけて、次は「雨がやんだら」(朝丘雪路)。夏木マリ。パーカッションの斉藤ノヴとの夫婦共演となった。力強い歌唱だったが、終始左腰に手を添えてスタンドマイクで歌ったので、もしかして腰が痛いのだろうか、あるいは演出なんだろうか、と思った。
続いて「真夏の出来事」。平山三紀。数多くの筒美作品の中で、個人的なベストワン候補はこの曲だ。オリジナルの平山三紀の歌で聴けて嬉しかった。
歌手は、基本的に前掲のステージプラン図にある、正面奥のヘ音記号の間から出てきて、階段を下りて下手へはけていく流れなのだが、その階段の段差が高いのか、下りにくそうにしている人が多かった。
麻丘めぐみ「芽ばえ」。MCをはさんで「わたしの彼は左きき」。
浅田美代子「赤い風船」。「来てくれる」からの部分にちゃんとコーラスがつくのが、なるほどオリジナルに忠実で嬉しくなる。
どの曲もおそらくフルコーラス。全部の曲の尺を正確におぼえているわけではないが、少なくとも紅白歌合戦でやられるような大きなカットはなかったと思う。
次は、下手でそのコーラスを務めていた女性3人が中央に移動して、「にがい涙」(スリー・ディグリーズ)。この3人組はこのコンサートのために集められた人たちではなく、AMAZONSと言って既に結成30年以上のキャリアがあるそうだ。
ここで弦楽器はチューニング。
続いて、この日だけ出演の岩崎宏美が登場。「ロマンス」。まあ当然の選曲だ。
岩崎宏美の生歌唱を聴くのはいつ以来だろう。20代の頃、毎年秋に郵便貯金ホールで行われていたリサイタルは必ず聴きに行ったものだが、それ以来か。30数年ぶり?
岩崎宏美なら当然MCをはさんでもう1曲歌うだろうと思ったのだが、1曲で引っ込んだのが意外だった。
続いて太田裕美。これも当然と言うべき「木綿のハンカチーフ」。MCが入ったので、では次の1曲は何だろうと思いめぐらせていたら、「九月の雨」だった。これもいい曲だよね。
森口博子。MCをはさんで、「東京ららばい」(中原理恵)と「リップスティック」(桜田淳子)の2曲を歌った。初めて聴く森口博子の生歌はとても見事なものだった。ステージマナーもすばらしかった。いずれも彼女にとってはカバー。岩崎宏美が1曲なのに、とちょっと思ったが。
ブレッド&バター「青い地平線」。1978年のテレビ番組のテーマ曲なのだそうだが、記憶にない。妻は知っていて、この曲が聴けてよかったと言っていた。
大友康平が桑名正博ナンバーを2曲。「哀愁トゥナイト」、「セクシャルバイオレットNo.1」。大友さんにとってはロック歌手としてトリビュートする存在なのだそうだ。
松本伊代「センチメンタル・ジャーニー」、早見優「夏色のナンシー」。80年代の代表的な筒美アイドルソングだけに盛り上がったが、他にも曲があるんだから、2曲ずつでよかったんじゃないかなあ。ちょっと物足りない。
武藤彩未「あなたを・もっと・知りたくて」。薬師丸ひろ子本人の歌で聴けるに越したことはなかったが、初めて聴くこの人の歌もとてもよかった。
斉藤由貴「卒業」。終始テンポに乗り切れない歌で、ちょっと聴きにくかった。つい先頃リリースされたセルフカバーアルバム「水響曲」にも収録されている曲だから歌い込んでいるはずだが。表情を見ていても何か感情が溢れてコントロールできないという感じだった。
ここで幕が下りて、第1部終了。18:35。
20分間の休憩とアナウンスされたが、トイレがすごい行列となり、屋外のトイレもご利用下さい、と言われるほどだったので、結局30分近くかかっての第2部開演となった。
C-C-Bが2曲。「Romanticが止まらない」、「Lucky Chanceをもう一度」。
AMAZONS「WAKU WAKUさせて」(中山美穂)。
乃木坂46(伊藤純奈&樋口日奈)「なんてったってアイドル」(小泉今日子)。
Little Black Dress「Oneway Generation」(本田美奈子.)。
カバーが続く。「なんてったって・・・」はキョンキョンが歌ってくれたら、などと思ったりしつつも、4曲とも皆よかった。
藤井隆が登場時に「皆さん、何でお前が? って思ってるでしょう。僕も同じです」と笑いを取ったが、すごく研究した、という感じの歌で立派だった。
ここでチューニング。
NOKKOが登場して「人魚」を歌った。私はリリース当時のこの曲を知らない。いや知らないことはないとしても、あまり覚えていない。そのため、こういう曲だったっけ、と受け身で聴いていたが、とにかくすごい歌唱だとは思った。力強く変化に富み、時にオペラ風でもあった。
スージー鈴木氏がTwitterで17日のコンサートについて書かれているが、「夏木マリ、森口博子を押さえ個人的MVPはNOKKO。ロックとブルースとオペラの中間にある新しい歌唱世界」と評されていた。また、「NOKKO良かったのに、何でコードを変に変えるアレンジにしたんだろう? 別の人魚が泳ぎ始めた」とも。この曲についてはオリジナルとは違った部分があったらしい。
続いて、ROLLY「AMBITIOUS JAPAN!」。直前のNOKKOともオリジナルのTOKIOともすごくギャップがあるヴィジュアルだが(笑)、説得力のある歌唱と演奏だった。
ここでバンドによるインストゥルメンタル。メンバー紹介が行われた。
そして、第2部の後半は、いやが上にも盛り上がる郷ひろみ!
「男の子女の子」、「自分で言うのも何ですが、この曲は郷ひろみの傑作だと思います」とのMCを経て、「よろしく哀愁」。
妥当な選曲だが、郷ひろみに関してはもう1曲あってよかったな。
ここでまたチューニング。
続いて新御三家の一角、野口五郎。「甘い生活」。MCで、筒美氏には108曲書いてもらったと言っていた。さてもう1曲は? 「私鉄沿線」は筒美京平作曲ではない(編曲はしているが)。「グッド・ラック」を歌った。
次に中村雅俊。この人に筒美作品はあったっけ、と思っていたが、MCで、「野口五郎さんは108曲書いてもらったそうですが、私は2曲です(笑)」。「時代遅れの恋人たち」と「海を抱きしめて」。1978年の主演ドラマ「ゆうひが丘の総理大臣」のオープニング曲、エンディング曲で、シングルのA面B面。だから2曲。その2曲を歌った。
そろそろかなと思っていた大橋純子と庄野真代が相次いで登場。「たそがれマイ・ラブ」、「飛んでイスタンブール」、「モンテカルロで乾杯」。
そして、松崎しげる。「さらば恋人」(堺正章)。この曲に関してはマチャアキ来てくれたらよかったのに、と思ったなあ、つくづく。望月東庵先生!
そろそろ大詰めか、という感じになってきたところへ、スタッフが中央にスタンドマイクを設置したので、もしかしてこれは? と思ったら、やっぱり、あのイントロ!
出ました、ジュディ・オング。「魅せられて」。個人的好みはちょっと別にして、筒美京平代表曲中の代表曲であることは事実だ。客席はこの日一番の盛り上がり。「Wind is blowing from the Aegean・・・」のところで両腕を上げると、おーっ、という声が上がった。
これが本編最後の曲だった。
アンコールを求める手拍子の中、ビジョンにそれまで歌われたセットリストが表示される。
当然、「また逢う日まで」はあるはずだ、と思った。個人的好みも含めて、筒美京平代表曲中の代表曲。オリジナルを歌った歌手が既に他界していようと、このコンサートで、絶対に歌われないはずはない曲である。では誰がそれを歌うのかが問題。この日の出演者の中で、ヴォーカル的に近いと言うと、大友康平か松崎しげるだろうか。
そんなことを考えている内に始まったのが、野口五郎「オレンジの雨」。これはちょっと意外だった。野口五郎の歌唱はこれで3曲目だからだ。優遇し過ぎ、という気がした。エレキギターを弾きながらの歌唱だった。
さあどうなる。この調子で、また誰かが1人出てきて1曲、また1曲と歌ってったらキリがないけど。
そうか、ここで出てきたか、岩崎宏美。1曲じゃ物足りなかったんだよ。よかった。さっきこの曲を歌ってくれてもよかったんだけど。
途中から、松本伊代、早見優、森口博子、須藤彩未、Little Black Dressが出てきて、左右に並んで一緒に歌った。アンコールとしてはこういう形でみんなで盛り上げるのがいいけど、岩崎宏美的には不本意だったかもしれない。
そして、とうとう「また逢う日まで」。歌ったのは松崎しげるだった。やっぱりね。
この曲では出演者ほぼ全員が出てきて一緒に歌った。締めくくりの演出としてはこうなるだろう。郷ひろみがいなかったな。この曲、オリジナルはDだがFで歌われた。女性も入るからだろうか。
最後に船山氏の締めのMCがあって、20:48、終演となった。休憩含めて3時間半と聞いていたが、休憩も長引いたし、4時間近くになった。
西田佐知子の「くれないホテル」が流れる中、退場した。
それにしてもすばらしいコンサートだった。当時を思い出す本当にオリジナルに忠実なアレンジで、フルコーラスの歌唱。
こういうコンサートであれば、オリジナルの歌手の歌唱が望ましいのは当然だが、出てきて歌ったオリジナル歌手の、現時点での「現役度」がちょっと気になったりするところもあった。
一方、カバー歌唱をした出演者は、やはり歌唱力を買われての起用だろう。皆すばらしい歌唱だった。
申し訳ないがその存在を知らなかった、武藤彩未、Little Black Dressもよかった。
また聴きたい、と望むことは無理だろう。そういうコンサートだった。おそらく空前絶後。貴重なものが聴けてよかった。
改めてセットリスト。
(コンサートのオフィシャルサイトからコピペ。カッコ内はオリジナル歌手)
<第1部>
01. OVERTURE / 船山基紀とザ・ヒット・ソング・メーカーズのテーマ① / バンドのみ
02. ブルー・ライト・ヨコハマ / 伊東ゆかり(いしだあゆみ)
03. 誰も知らない / 伊東ゆかり
04. 雨がやんだら / 夏木マリ(朝丘雪路)
05. 真夏の出来事 / 平山三紀
06. 芽ばえ / 麻丘めぐみ
07. わたしの彼は左きき / 麻丘めぐみ
08. 赤い風船 / 浅田美代子
09. にがい涙 / AMAZONS (スリー・ディグリーズ)
10. セクシー・バス・ストップ / 野宮真貴 (浅野ゆう子)
11. ロマンス / 岩崎宏美
12. 木綿のハンカチーフ / 太田裕美
13. 九月の雨 / 太田裕美
14. 東京ららばい / 森口博子(中原理恵)
15. リップスティック / 森口博子(桜田淳子)
16. 青い地平線 / ブレッド&バター
17. 哀愁トゥナイト / 大友康平 (桑名正博)
18. セクシャルバイオレットNo.1 / 大友康平 (桑名正博)
19. センチメンタル・ジャーニー / 松本伊代
20. 夏色のナンシー / 早見優
21. あなたを・もっと・知りたくて / 武藤彩未(薬師丸ひろ子)
22. 卒業 / 斉藤由貴
<第2部>
23. Romanticが止まらない / C-C-B
24. Lucky Chanceをもう一度 / C-C-B
25. WAKU WAKUさせて / AMAZONS featuring 大滝裕子(中山美穂)
26. なんてったってアイドル / 乃木坂46(伊藤純奈 & 樋口日奈)(小泉今日子)
27. Oneway Generation / Little Black Dress(本田美奈子.)
28. 抱きしめてTONIGHT / 藤井隆(田原俊彦)
29. 人魚 / NOKKO
30. AMBITIOUS JAPAN! / ROLLY(TOKIO)
31. バンドメンバー紹介曲 / 船山基紀とザ・ヒット・ソング・メーカーズのテーマ② / バンドのみ
32. 男の子女の子 / 郷ひろみ
33. よろしく哀愁 / 郷ひろみ
34. 甘い生活 / 野口五郎
35. グッド・ラック / 野口五郎
36. 時代遅れの恋人たち / 中村雅俊
37. 海を抱きしめて / 中村雅俊
38. たそがれマイ・ラブ / 大橋純子
39. 飛んでイスタンブール / 庄野真代
40. モンテカルロで乾杯 / 庄野真代
41. さらば恋人 / 松崎しげる(堺正章)
42. 魅せられて / ジュディ・オング
<アンコール>
E-1. オレンジの雨 / 野口五郎
E-2. シンデレラ・ハネムーン / 岩崎宏美
E-3. また逢う日まで / 松崎しげる(尾崎紀世彦)
インストを除いて43曲! お腹いっぱいのコンサートでした。
尚、前日、17日のセットリストも公開されているので比較してみた。
第1部では、岩崎宏美の出演がない代わりに稲垣潤一が「ドラマティック・レイン」を歌っている。
第2部では、乃木坂の2人の出演がない代わりに、南沙織の「17才」を、早見優、松本伊代、森口博子、武藤彩未が歌っている。
そしてアンコールだが、最初の2曲が異なり、1曲目が太田裕美「雨だれ」、2曲目が郷ひろみ「裸のビーナス」となっている。野口五郎、郷ひろみで、3曲を1日ずつ歌ったということだ。
入場時にもらったチラシによると、このコンサートは後日WOWOWで放送されるそうだ。楽しみに待ちたい。
※過去の関連記事
巨星筒美京平去る
https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2020/12/30/171922
※コンサートのオフィシャルサイト
https://kyohei-tsutsumi-live.com/
※森口博子さんのオフィシャルブログにこのコンサートのことが書かれているので紹介しておく。
本番前に涙が
https://ameblo.jp/hiroko-moriguchi/entry-12669080106.html
もうすぐです!
https://ameblo.jp/hiroko-moriguchi/entry-12669265091.html
もう感動!
https://ameblo.jp/hiroko-moriguchi/entry-12669569027.html
豪華なコラボ!
https://ameblo.jp/hiroko-moriguchi/entry-12669573887.html
次々と!
https://ameblo.jp/hiroko-moriguchi/entry-12670038388.html
輝くキャリア!
https://ameblo.jp/hiroko-moriguchi/entry-12670415137.html
心震えるいい男!の皆様!
https://ameblo.jp/hiroko-moriguchi/entry-12670816542.html
1974年に録音されたこの演奏は、当時大変絶賛されたものだが、それとは別に話題になったのがこのジャケットだった。
結構有名ですよね、これ。
タートルネックのセーターに革ジャン。
クラシックのレコードのジャケットに載る指揮者の写真としては誠に異例で、当時、大学オケの仲間内でも話題になったものだった。
カラヤンのダンディズムもここまできたか、という感じで受け止めていた。
ところで、今日、Twitterを見ていたら、Sonetto Classics CEO / T.sawadoさんとおっしゃる方が、このジャケットについてツイートしておられる。
前も一度あげたことがあるけれど、カラヤン「英雄の生涯」のカバーも
かなりセンスが悪い。高速道路の灯をバックに佇むバイク野郎のように
も見えるし、イカ釣り漁船をバックに立つ演歌歌手のようにも見える。
いやー、物の見方は人それぞれですねえ。
それにしても、この着眼。
バイク野郎。演歌歌手。
それ以前に、カラヤンその人以外の背景から、高速道路の灯、イカ釣り船とイメージしたところがすごいよね。
言われて見れば、確かにそう見えてくる。
言い得て妙とはまさにこのこと、と笑いながらも感服したのでした。
以下は余談。
この「英雄の生涯」よりも少し前に、同じカラヤンによるバルトークの管弦楽のための協奏曲の新譜が出ている。
そのジャケットがこれ。
よく見ると、同じセーター、同じ革ジャンで、横から撮影されたものだ。
しかし、私はまったくそのことに気がつかなかった。オケ仲間でもそれを言っていた者はいなかったと思う。